ビビリフクロウの足跡

いつもお世話になっているインターネットへの恩返し

KubeVirtを使ってみる

KubeVirtをお試ししてみたので、その際のメモを残しておきます。

KubeVirtとは

KubeVirtはRed Hat社が主に開発している、CNCF MemberプロダクトのOSSです。KubeVirtを使うとKubernetes上で仮想マシンを管理することができるようになります。これによりコンテナよりも隔離レベルの高い仮想マシンを使いながら、KubernetesのCloud Nativeな機能であるPodネットワーク、Service、サービスディスカバリを仮想マシンに対し適用することができるようになります。

KubeVirtのインストール

インストールは至極簡単です。Kubernetesクラスタを用意したら、以下のコマンドを実行するだけです。

export VERSION=v0.11.0
kubectl create -f https://github.com/kubevirt/kubevirt/releases/download/$VERSION/kubevirt.yaml

もし、Workerノードが仮想化支援機構(IntelでいうVT-x)に対応しておらず、ハードウェアエミュレーションを使いたい場合は、事前に以下のコマンドを実行します。

kubectl create configmap -n kube-system kubevirt-config --from-literal debug.useEmulation=true

KubeVirtを使ってみる

KubeVirtで仮想マシンを操作するには、専用のCLIツールであるvirtctlがあると便利です。virtctlをインストールしましょう。

curl -L -o virtctl https://github.com/kubevirt/kubevirt/releases/download/$VERSION/virtctl-$VERSION-linux-amd64
chmod +x virtctl
sudo chown root:root virtctl
sudo mv virtctl /usr/bin

インストールしたらまずは超軽量OSであるCirrOSを起動してみましょう。仮想マシンオブジェクトをKubernetes上に作成します。

kubectl apply -f https://raw.githubusercontent.com/kubevirt/demo/master/manifests/vm.yaml

kubectl get vmコマンドを実行すると、以下のような出力が得られると思います。

NAME     AGE   RUNNING   VOLUME
testvm   6s    false

RUNNIGfalseとあるように、この時点ではまだ仮想マシンは起動していません。起動にはvirtctlコマンドを使って以下のようにします。

virtctl start testvm

すると、RUNNINGtrueに変わります。

NAME     AGE   RUNNING   VOLUME
testvm   1m    true

実は仮想マシンオブジェクトはコンテナで言うReplicaSetのようなもので、仮想マシンの起動定義情報が格納されているだけです。実際の仮想マシンのポインタ情報は「仮想マシンインスタンスオブジェクト」に格納されています。仮想マシンインスタンスオブジェクトを一覧するにはkubectl get vmiコマンドを実行します。

NAME     AGE   PHASE     IP           NODENAME
testvm   3m    Running   10.100.0.6   kubevirt-test-jbsl2irizcpz-minion-1

すると、上記のように仮想マシンの現在の状態やIP情報などを手に入れることができます。

仮想マシンのコンソール画面(CUIベース or GUIベース)にアクセスするには、またvirtctlコマンドを使います。

virtctl console testvm
virtctl vnc testvm

しかし、Cloudイメージを使う場合、通常パスワード認証できないので、これらのコマンドを使う機会は少ないでしょう。

仮想マシンSSHログインするにはコンテナと同様に仮想マシンを Service で外部公開する必要があります。これもvirtctlコマンドで簡単に行なえます。

virtctl expose vm testvm --name testvm --port 22 --type NodePort

kubectl get svc -o wideすると、確かにNodePort Serviceが作成されてますね!

NAME         TYPE        CLUSTER-IP    EXTERNAL-IP   PORT(S)        AGE   SELECTOR
kubernetes   ClusterIP   10.254.0.1    <none>        443/TCP        18m   <none>
testvm       NodePort    10.254.20.5   <none>        22:30296/TCP   64s   kubevirt.io/domain=testvm,kubevirt.io/size=small

どこかのNodeの30296番ポートをsshで突っついてみましょう。ユーザ名はcirros、パスワードはgocubsgoです。

ssh -p 30296 cirros@<NodeのIP>
$

無事ログインできましたか?

仮想マシンの停止にもvirtctlを使います。

virtctl stop testvm 

仮想マシンの削除にはkubectl delete vmコマンドです。これを実行すると該当の仮想マシンインスタンスも一緒に消えます。

kubectl delete vm testvm

最後に

いかがでしたでしょうか。仮想マシンの隔離レベルを担保しなくてはいけないけれど、コンテナは使えないといったケースや、コンテナネットワークに仮想マシンを直接繋いでレイテンシを改善したい場合などに使えそうかなと思っています。 時間を見つけて任意の仮想マシンイメージを起動する方法も書こうと思いますので、お楽しみに!