ビビリフクロウの足跡

いつもお世話になっているインターネットへの恩返し

自キ初心者が自作ケース沼まで着々と浸かる話

この記事はキーボード #2 Advent Calendar 2020の23日目の記事です。

はじめまして、こんにちは。bbrfkr(ビビリフクロウ)と申します!

本記事では9月に自作キーボードを初めて、キット組み立て沼から基板設計沼を経由し、自作ケース沼にハマりかけている初心者のお話を書きたいと思います。

8月の終わりに、ITエンジニアコミュニティの皆さんと秋葉原に行く機会がありました。お昼ご飯から早めに集まった私を含むメンバーは、ご飯の後、目的の時間までの余裕があったので、遊舎工房に立ち寄ることになります。そこで私は初めて分割キーボードを目の前にしました。

当初は、「そんなキーボードもあるのねー」くらいの感想だったことを覚えています。しかし、次の日になっても遊舎工房のあの光景が脳裏から離れませんでした。私はたまらず週末に再び遊舎工房を一人で訪れ、店員さんのアドバイスの下、Corne Cherry v2キーボードを手にしました。私は自キの沼に足を踏み入れてしまったのです。9月の1週目のことです。

f:id:bbrfkr:20201223000602j:plain

そこからはキーボードのことが常に頭の中にありました。Corne Cherryを手に入れた私はまず、40%キーボードに慣れるため、タイピングの練習をはじめました。Typing Clubに大変お世話になりました。親指でスペースやエンターを押すことにも慣れ、私はこの時点でこれまでのノートPCについているキーボードと決別することになりました。

Corne Cherryでタイプすることになれると、今度は小指に6つものキーを担当させることに違和感を覚えるようになりました。自作キーボードでも、キースイッチやキーキャップを交換することで打鍵感は変えられても、そもそものキー配列を変えるためにはキーボード自体を変えるほかありません。そこで、もっとすべての指にそれ相応の役割を担当させるキー配列を探し求めることになりました。結果、uzu42キーボードにたどり着きます。これがおよそ9月末のことです。

f:id:bbrfkr:20201223000626j:plain

uzu42を手にした私は4行目のキーに外側から小指、薬指、中指をそれぞれ1キーずつ、残りの3つは親指に担当させることに決めました。この役割分担は少しの間は快適でした。小指を無理に動かさずに薬指と中指に役割を分散させることができました。ですがしばらくすると、親指は結局の所一番内側のキーしか叩いていないことに気づいてしまったのです。私の親指は手の内側に曲げることを極端に嫌っていたのです。

親指がうまく活用できていないことに気づいた私はまた別のキーボードを探し始めました。しかし私のニーズである、各指になるべく役割を分散し、親指をなるべく手の内側に曲げなくて済むような配列を持つキーボードは見つかりませんでした。そこで、私はキーボードを基板から作ることを決心しました。10月の1週目、基板から作る手法を知らない私はまず、SU120を購入し、プロトタイプをまず作ってみようと思い立ちました。ハンダ付けのやり方を習得していた私は、プロトタイプの作成を難なく行うことができました。

f:id:bbrfkr:20201223000658j:plain

プロトタイプができると、次に基板を設計するべく、自作キーボード設計入門を読み込みました。すぐにkicadとinkscapeをインストールし、休日丸一日を使って、オリジナルキー配列を持つ基板を作り上げることができました。プロトタイプの作成、自作キーボード設計入門の読み込みを経ると10月下旬くらいになっていました。ガーバーファイルを得ることができたので、基板制作発注を行います。基板がくるのが待ち遠しい現象は、小さい頃、発売前の新作ゲームを待ちわびるワクワク感に似ていました。

到着した基板を使ってキーボードを組み立てると、私はそのキーボードにScatter42という名前をつけました。このキーボードが生まれたのは自キ界隈の先駆者のおかげだと考えたため、オープンソースとして公開、また遊舎工房にて委託販売することを考えました。それが11月上旬頃です。実際の公開、販売にこぎつけられたのは11月下旬頃になっていました。

f:id:bbrfkr:20201223001044j:plain

Scatter42を作り上げた私はまた少しの間、そのキー配列を純粋に楽しむことができていました。ところが、これまで40%キーボードに慣れていた手はもはやデフォルトレイヤに多くの修飾キーを必要としていませんでした。そこで修飾キーを極力削った新しいキーボードを開発することにしました。lowerとraiseキー以外にデフォルトレイヤには左右のCtrlおよびShiftキーしか無いキーボードが出来上がりました。私はこのキーボードに、今の私にとって、打鍵効率を考えた最少キー数であることから、quantum(量子)と名付けました。現時点ではこのキーボードは販売していませんが、もしご興味がある方がいらっしゃいましたら考えます。。。 quantumが完成したのがちょうど12月上旬でした。

f:id:bbrfkr:20201223001213j:plain

そしていま私はこのquantumを常用していくためのケース設計にいそしんでいる最中です。現状は写真のようなかんたんなケースをOpenScadを使って作成しています。

f:id:bbrfkr:20201223001255j:plain

4ヶ月、短いようで私にとっては濃く長い期間を過ごしました。すべての人を満足させられるキーボード配列はないと思います。今あるキーボード達の配列に満足しきれていない方がいらっしゃいましたら、是非、自作基板設計に踏み込んで頂くきっかけに本文章がなれば幸いでございます。

この文章はquantumを使って書きました。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!